野にあるように(2013)

アイアイエーギャラリー [GoogleMap]にて、脇神聡写真展「野にあるように」を開催しました。

2013/3/19(火)〜24(日)営業時間12:00-19:00

 

(PRESS RELEASEより)

 写真展概要

脇神聡はWebプロデューサーとして大手企業のWebサイト構築に携わってきたいっぽうで、東 京23区内に蓄積されたリアルな息吹きにモノノアハレを見出し撮り続けている写真家です。

この写真展を貫く大きなテーマは「侘び寂び」。 この言葉のルーツである茶道によれば、そのこころは次の和歌によく現されていると言われています。

見渡せば花も紅葉もなかりけり 浦のとまやの秋の夕暮れ /藤原定家

花をのみ待つらん人に山里の 雪間の草の春を見せばや /藤原家隆

それまでの舶来物を珍重した絢爛豪華な物質主義から超越し、正直で慎み深くおごらぬさまや、静けさの中にも新しい息吹きを秘めた自然の力強さに美意識を見出したこと。そのこころの美しさによる趣向を「侘び寂び」と言ったのでした。

後者の和歌を引き、わび茶を大成させた千利休の教えのひとつに「花は野にあるように」ということがあります。茶室の床の間に花を生ける際は、ことさらに技巧は加えません。ただし野の花をそのまま花入に入れるわけではなく、野に咲く美しさと、自然から与えられている生命の尊さを生かす工夫をして入れるという心構えが大切とされています。

この作品は、四季を通じて東京23区内に佇むささやかな命を、床の間の花を見るように撮影したもの。様々な人工物に溢れヒトが本来持つ豊かな五感が失われている時代だからこそ、身近にある一縷の命に「もののあわれ」を感じる行為の重要性を、脇神は写真を通して訴えかけます。

また茶道文化に加え、日本画のもつ繊細な階調表現を撮影技術に採り入れながら、多彩な和紙へのピグメントプリントによる引算の美を追求している点も見どころです。

展示構成

  • ピグメントプリント 20点(予定)
  • 通常のマット額装ではなく、花入の下敷きとして茶道で用いられる「薄板」をモチーフに、ヒノキ 木地板に和紙を貼る展示を予定。自然な芳香の中での鑑賞を演出します。
  • ZINE(小フォトブック)、ポートフォリオ(予定)